新しい卵管因子のための検査
新しい卵管因子のための検査
卵管因子の検査は, 不妊の原因となる可能性がある卵管の状態を確認するための検査です. 従来から実施されている子宮卵管造影検査 (HSG)は, 検査中の痛みが強いこと等のデメリットのみならず, 卵管閉塞 (詰まり)を検出する感度が約65%程度に留まるなど, 検査の正確性においても優れた検査法であるとは言えません. さらに, この検査はレントゲンの被曝を前提とする点も, 検査の実施を躊躇する充分な理由となります. 本来ならば, 腹腔鏡下手術を実施することが望ましいのですが, この事実は専門家の中でもあまり知られていません. いずれにしても, 不妊症の原因検索のために ① 入院 ② 全身麻酔と手術手技がもたらす心身の負担 ③ 高額な医療資材 を要する腹腔鏡下手術の実施数は, IVF診療が全盛である近年ではさらに少なくなっています.
われわれは, 新しい卵管因子の検査手法として, 以下の選択肢をご提案します.
欧米を中心に, 現在は超音波子宮卵管造影法 (hysterosalpingo-foam sonography test: HyFoSy)が, 卵管の評価を容易にする新しい選択肢として注目を集めています. 多くの研究者グループが, 従来の子宮卵管造影検査と比較して, HyFoSyが他の技術より優れていることを報告しています. もはや, レントゲンを使用する子宮卵管造影法は廃止すべきと結論する報告も発表されております.
HyFoSyは, クリニックで行う事が出来る最もストレスの少ない検査法です. 診断の大部分を超音波検査によって行うため, 従来法のように放射線を用いる検査機器を必要とせず, また患者に使用されるヨード系の造影剤に対するアレルギーのリスクの心配もありません. HyFoSyは, 手技中の痛みが少なく, 手技時間が短いという点もメリットとなります. この最先端の卵管検査法を, 国内における当たり前の臨床検査と見なされる以前に, 当院でご提供したいと思います (自費検査です).
卵管鏡下卵管形成術 (FT)は, 卵管閉塞 (卵管の詰まり)に対して, バルーン・カテーテルを用いてその閉塞を解除する治療法ですが, その内腔の性状 (卵管ヒダの量など)の観察が可能となることから, 卵管因子の検査法としても優れた技術です.
これらの新しい卵管因子の検査法は, 問題も多かった従来の卵管検査法に対する極めて有望な選択肢となります.
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